ミトコンドリアを活性化させて妊娠確率を上げる、オーグメント療法とは

ミトコンドリアのイラスト大阪府の不妊治療クリニック「HORACグランドフロント大阪クリニック(IVFジャパングループ)」で、ミトコンドリアを用いた不妊治療成功例の報告がありました(2017年6月)。

それによると、ミトコンドリア治療を受けた21名の女性のうち、6名が妊娠し、4名が出産に至ったということ。

この数字は凄いのか?

ミトコンドリアが、なぜ妊娠確率に関係あるのか?

ミトコンドリアと妊娠の関係や、ミトコンドリアに着目した不妊治療方法であるオーグメント療法についてまとめました。

ミトコンドリアと妊娠の関係

充電状態の違う乾電池のイラストミトコンドリアは、例えて言うなら細胞の発電所。

全身のあらゆる細胞に存在して、細胞のエネルギー源として人体の活動を支えています。

卵子にも10~20万個のミトコンドリアがあり、卵子の成熟や受精卵になった後の細胞分裂には、ミトコンドリアが作り出すエネルギーが欠かせません。

卵子のガソリンスタンドのようなもの、とも言えますね。

 

そのため、ミトコンドリアが弱ったり数が不足していると、卵子を正常に育てることができません。

運良く受精できたとしても、途中で細胞分裂が止まってしまいます。

 

つまり、体内のミトコンドリアが不足していると、妊娠過程において細胞がエネルギー不足になって活動を継続できず、妊娠しにくくなってしまうということ。

ミトコンドリアが弱ったり数が減ったりする1番の原因は体の老化であり、女性の妊娠確率の最も大きな要因である卵子の老化にも、ミトコンドリアの影響が大きいと考えられています。

 

では、ミトコンドリアの働きを補うことができれば、妊娠確率も改善するのでは?

この発想から開発されたのが、HORACグランドフロント大阪クリニックで実施された「オーグメント療法」という不妊治療方法です。

ミトコンドリアを注入するオーグメント療法

オーグメント療法はアメリカのOvaScience社が開発した不妊治療法。

OvaScience社から日本への技術提供が発表されたのは2015年で、まだ新しい治療法です。

 

オーグメント療法では、患者自身の細胞からミトコンドリアを抽出。

採取したミトコンドリアと精子を一緒に卵子に注入して体外受精を行います。

簡単に言うと、衰弱して妊娠しにくい状態の卵子に、体の別の箇所から持ってきたエネルギーを補ってあげるんですね。

 

海外では2016年7月時点で250症例以上が実施され、31名の赤ちゃんが生まれました。

日本では、平成28年1月から6月までに、HORACグランドフロント大阪クリニックで21名がオーグメント療法による不妊治療を受け、6人(27~44歳)が妊娠、4人(27~36歳)が出産に至りました。

オーグメント療法の妊娠成功率は高いのか、低いのか?

HORACの治療結果で出た数字を単純計算すると、妊娠成功率は28.6%、出産成功率は19%。

この数値を高いと見るか、低いと見るかですが、個人的には高いのではと感じました。

 

1つには、今回のオーグメント療法を受けた対象者が、従来の不妊治療では妊娠できなかった女性たちであると発表されていたこと。

患者1人1人の詳細は明かされておらず、このことが議論の種にもなっているようですが、そもそもHORACは一般の婦人科ではなく、体外受精を専門とする不妊治療クリニックです。

対象者には、これまでにも複数回の体外受精を行ったのに妊娠ができなかった人、他院での不妊治療がうまくいかず転院してきた人が、少なからず含まれていただろうことが推測できます。

 

そして、体外受精による1周期あたりの妊娠確率は一般に20~30%(※)。

※治療成績はクリニックや年齢で大きく異なるため、ざっくりとした目安です。

そのほとんどが4回目までのトライで妊娠し、5回目以降では成功率が極端に下がると言われています。

 

ここからは私の想像でしかありませんが、オーグメント療法に臨んだ患者さんたちは、すでに3回、4回…と体外受精を繰り返してきた女性なのではないでしょうか。

また、妊娠成功した女性の最高齢は44歳ですが、この年齢で女性が自然妊娠できる確率は1%程度しかありません。

健康体であっても、40代で妊娠するということは、それくらい難しいことなのです。

こういった事情を考えると、28.6%という妊娠確率は、私には高い数値に思えます。

 

クリニック側が詳細を公表していないことや臨床数の少なさから、専門家間では安全性や効果への疑問の声も上がっていると報道されていますが…

不妊の最大の原因である卵子の老化に対して何らかの手立てがあるかもしれないという知らせは、不妊に悩む女性にとって希望を与えてくれる話題ではあるでしょう。

 

オーグメント療法の気になる費用ですが、HORACグランドフロント大阪クリニックのHP上では、治療料金は公開されていません。

ただ、各紙で報道されたニュース内容によると、費用は170万円ほどだそうです。

一般的な体外受精は1回50万円くらいが相場なので、それに比べると3倍以上。

 

現在、日本でオーグメント療法を実施しているのはHORACのみなので比較はできませんが、今後他の医療施設で扱うようになったとしても、100万円レベルの高額になることは間違いなさそうです。

いくら妊娠の可能性が上がるとはいえ、それが100%ではない以上、仮に身近なクリニックで実施していたとしても、現実的にそこまでは手が出せないという人も多いと思います。

 

オーグメント療法以外で、ミトコンドリアを活性化させる方法はないのでしょうか?

…と思っていたら、HORACの院長である森本医師その人が、誰にでもできるミトコンドリアを活性化方法を提唱していました。

森本医師が提唱する「ミトコンウォーク」

ウォーキングしている女性の写真森本医師が提唱するミトコンドリア活性方法は、その名も「ミトコンウォーク」。

要するにウォーキングです。

ミトコンドリアのエネルギー源は体内の酸素なので、適度な運動により体内の酸素量を増やすことが、ミトコンドリアの活性化につながるのだとか。

 

ミトコンウォークの具体的なやり方は、次の3ステップ。

  • 準備体操(5分)
    深呼吸、手を組んで腕を上部に上げるわきのストレッチ、前屈後屈、屈伸を各3~4セット行う
  • 早歩き(15分)
    心拍数100~120程度で15分の早歩きをする。目安はじんわり汗をかくくらい。
  • スローダウン(10分)
    歩く速度を徐々に落としていく。

なんてことないウォーキング運動ですが、実は非常に重要なのが、最後のスローダウンのステップ。

これを怠ると、せっかくの運動が逆効果にもなりかねません。

 

「活性酸素」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、15分の早歩きでは、この活性酸素を適度に発生させ、ミトコンドリアの活性を促すのが目的。

活性酸素=体に悪い、というイメージが強いかもしれませんが、活性酸素とは文字通り、活発で強力な酸素であり、適度であればミトコンドリアのエネルギー源となります。

 

ただし、過剰に発生した活性酸素は細胞を老化させるため、最後の10分間でクールダウンさせることが大切。

急激に運動をストップすると活性酸素が大量に発生してしまうので、徐々にスピードを落とし、ゆるやかに運動を終了させましょう。

 

ミトコンドリアを活性化させると聞くと難しそうですが、ヨガのように動きがあるわけでもないので、これなら誰にでもできますね。

森本医師のクリニックでは、ミトコンウォークができる専用ジムスペースもあり、不妊治療の一環として取り入れられているそうです。

ミトコンドリアは精子の元気にも関わっているので、夫婦で一緒にできる妊活としてもおすすめですよ。

 

ただ、「歩くだけなら簡単だけど、でも毎日30分はちょっと…」という人もいるかもしれません。

最後に、ミトコンドリアに着目した妊活サプリメントも紹介しておきます。

ミトコンドリアに着目した妊活サプリメント「ミトコプラス」

ミトコンドリアサプリメント、ミトコプラスの商品写真ゲンナイ製薬の「ミトコプラス」は、日本で初めて、ミトコンドリアの働きに着目して開発された妊活サプリメントです。

同じ発想のサプリメントは今でこそ増えましたが、ミトコプラスは2012年の発売以来、累計50万本以上が売れているロングセラー。

2回のリニューアルで成分と含有量も見直されており、その点でも安心して続けられる商品かと思います。

ゲンナイ製薬では魔裟斗さん、矢沢心さんご夫婦がイメージキャラクターを努めているので、広告を見たことのある人もいるかもしれませんね。

 

価格は定価8980円、定期購入で7980円と安くはありませんが、「妊活サプリ」として売られているもので、妊娠を直接サポートする成分というのは、実はほとんどありません。

妊活成分としては葉酸が有名ですが、葉酸は妊娠した後の赤ちゃんのために必要な成分であって、妊娠の確率を上げてくれる成分ではないんです。

 

妊娠「後」ではなく、妊娠するために出来ることを探している人は、一度ミトコプラスのHPで詳細をご覧になってみてください。

愛用者の声も派手な宣伝もない、シンプルで硬派なHPですが、誠実な姿勢で開発されていることが伝わってくると思います。

ミトコンドリアに着目した妊活サプリ「ミトコプラス」の公式HPを見る≫

 

参考文献)
Dr.森本の「卵子力」をアップさせるライフスタイルBOOK(学研プラス)
ふたりで授かる体をつくる 妊活レシピ(主婦の友社)
妊娠体質になりたい人は、肉を食べなさい。(CCCメディアハウス)
赤ちゃんが欲しい2015年秋号(主婦の友社)

「配合成分の数を売りにしているけど、美容成分や野菜パウダーって本当に必要?」

「葉酸サプリってどうしてこんなに高いの?」

「妊娠中じゃなくて、妊活のためのサプリはないの?」

私自身のそんな疑問から生まれた、妊活に本当に必要な葉酸サプリのランキングです。

ランキングと各商品の詳細はこちら»