生理不順の女性が妊娠しにくい2つの理由

お腹に手をあててかがんだ姿勢の女性の腹部の写真生理不順だと妊娠しにくい理由は、大きく2つ。

1つは確率的な問題、1つは卵子の発育に関わる問題です。

 

まず確率のほうからお話すると、生理不順だと排卵の回数が少ない、排卵のタイミングが不明といった問題が出てきます。

女性が妊娠できるのは、排卵された卵子が体内にある、ごく限られた時間のみ。

そして、排卵日は生理1周期につき1回しか起こりません。

生理不順で2~3ヶ月置きにしか生理が来ないということは、ただでさえ1年に12回しかない妊娠のチャンスが、12回未満に減ってしまうということです。

排卵日を予測してタイミングを取るにしても、生理周期が不安定だと、正確な予測ができないですよね。

 

生理不順が不妊の原因となるもう1つの理由は、卵子が正常に育たない可能性があるということ。

どういうことか、詳しく説明していきます。

生理不順だと卵子がうまく育たない可能性がある

私たち女性の体内では、複数のホルモンが常に入れ替わり立ち替わり仕事をして、生理周期を作っています。

その一例がFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)。

 

卵子は卵胞という袋に包まれて育てられ、一定の大きさになると卵胞が弾けて、中から成長した卵子が飛び出します。

この卵胞を刺激して、卵子の発育を促すホルモンがFSH。

育った卵胞を弾けさせて、排卵を起こすホルモンがLHです。

 

FSHによって然るべき大きさに育った卵胞が、然るべきタイミングでLHの刺激を受けて、卵子を排卵する。

このサイクルが生理周期であるわけです。

でも、生理不順の場合、これらのホルモンが仕事をするタイミングが狂ってしまうので…

受精能力のない未熟な卵子を排卵してしまったり、逆に適切なタイミングを過ぎてから排卵してしまったり、あるいは卵子の育成自体ができておらず、無排卵になったりという問題が起こります。

卵子の成長と排卵のタイミングを示した図

生理不順であっても、排卵が起こってさえいれば妊娠は可能です。

でも、卵子が正常に育たないということは、通常より妊娠しにくいのだということも、少しはイメージできたのではないでしょうか。

先ほど少し触れたように、生理があっても排卵していない「無排卵月経」という症状もあります。

妊娠は卵子と精子が受精して初めて成立するので、無排卵では絶対に妊娠はできません。

関連記事)
生理があっても妊娠できない!「無排卵月経」の症状とは≫

 

生理不順で命を取られることはありませんし、生理不順だけれど妊娠したという女性も、もちろんいます。

でも、生理不順を治したほうが妊娠しやすくなるというのも、また事実。

妊娠を希望するのなら、それが将来的な話であれ、今すぐであれ、生理不順はきちんと治療しておくことをおすすめします。

生理不順の原因

生理不順の原因として考えられるのは、以下のようなこと。

  • 睡眠不足、過労など体へのストレスによる女性ホルモンバランスの乱れ
  • 精神的なストレスによる女性ホルモンバランスの乱れ
  • 過度のダイエットによる体重減少
  • 肥満
  • 婦人病(子宮筋腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、女性ホルモン分泌の異常など)

心身のストレスが原因である場合、原因を取り除けば改善しますが、慢性的な生理不順や、心当たりがないのに急に…という場合、子宮や卵巣の疾患が隠れている可能性もあります。

妊娠を希望するのであればなおさら、やはり一度、婦人科を受診しておくのが安心です。

 

すぐに妊娠を望むわけではないにしても、子宮や卵巣の機能が低下した状態を放置しておくのは好ましくありません。

放置した期間が長ければ長いほど治療期間も長くなり、症状が悪化することも考えられます。

本当に子供が欲しいと思った時に妊娠できないということがないように、今から治療を始めておきましょう。

生理不順の治療方法、カウフマン療法とは

水の入ったコップと色とりどりのサプリメントの写真病院での生理不順の治療は、ホルモン剤や漢方薬を内服して、生理周期を整える方法が一般的です。

有名なのはカウフマン療法で、ホルモン剤を投与して自然なホルモンバランスを人工的に再現し、生理周期を整えます。

カウフマン療法に使われる薬は複数種類ありますが、よく使われるのはプレマリン+プラノバールもしくはデュファストンというホルモン剤を1~2週間分ずつ内服する方法。

その他に、湿布のような貼り薬を使ったり、ホルモン剤を注射する方法もあります。

 

カウフマン療法中は女性ホルモンを人工的に補っているため、卵巣はホルモン分泌や排卵をお休みできます。

その結果、カウフマン療法を続けることで低下していた卵巣機能が回復し…

ある程度の期間を経て投薬を中止すると、元気になった卵巣が自分で女性ホルモンを分泌して、正常な生理や排卵を起こすことができるようになる、という仕組み。

妊娠を希望する場合、カウフマン療法に排卵誘発剤を組み合わせることもあります。

おそらく問診時に聞かれるとは思いますが、妊娠を考えているかどうかで治療の方針も変わってくるので、妊娠の希望や時期について、お医者さんに伝えるようにしておきましょう。

 

カウフマン療法の期間は個人の症状によって異なりますが、目安は3~6ヶ月。

基本的に長期的な治療になるため、開始は早いほうがいいでしょう。

産婦人科の受診は緊張すると思いますが、生理不順はれっきとした産婦人科の治療対象。

一度足を運び、診察を受けてみてください。

生理不順を治すために自宅で出来ること

人間の体は、命の危機を感じると生殖機能をストップさせて、生き残ることを優先させます。

ダイエットで痩せ過ぎたり、反対に不健康なほどに太り過ぎた時、生理が来なくなる女性がいるのはこのため。

このままでは命が危ない→生殖機能を止めて、まずは生きるためのエネルギーを温存しよう、という体の生存本能が働くのです。

 

ですから、生理不順を治し、妊娠しやすい体質を作る近道は、健康でいること。

バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動、ストレスのない生活…

こうした「そんなこと言われなくてもわかってる!」的なことが、実は思っている以上に重要だったりします。

関連記事)
食生活を変えると妊娠の確率が上がる!ハーバード大学が医学的に証明

 

また、植物由来のピニトールという成分は、多嚢胞性卵巣という排卵障害から来る生理不順に有効とされ、海外で研究が進んでいます。

日本国内でもピニトールを配合した妊活サプリが出てきているため、体調管理の一環として、こうしたサプリメントを利用する方法もあります。

 

「そんな病気、自分には関係ない」と思うかもしれませんが、多嚢胞性卵巣は女性の20人に1人の割合で見られるとされる、不妊の大きな原因のひとつ。

代表的な自覚症状に生理不順、生理周期の長さがあげられるため、あなたが生理不順であるなら、決して他人事ではありません。

 

多嚢胞性卵巣やピニトールについては、下記の記事を参考にしてください。

生理不順で多嚢胞性卵巣という言葉を知らなかった方は、一度お読みになっていただくことをおすすめします。

関連記事)
ピニトールはPCOSによる不妊に効果あり。海外の研究データを交えて解説します≫

 

生理不順は、あなたの心身のどこかでバランスが崩れていたり、不調を抱えているという体からのサイン。

「生理不順なんて、いつものことだから」と軽視せず、自分の体と向き合ってあげてくださいね。

参考文献)
35歳からの妊娠スタイル(主婦と生活社)
いつまで産める? わたしの赤ちゃん(実業之日本社)
ふたりで取り組む 赤ちゃんが欲しい人の本(西東社)
赤ちゃんがやってくる 子宝レッスン(かんき出版)
赤ちゃんが欲しい2016年冬号(主婦の友社)
KLCメソッドで始める不妊治療(主婦の友社)
女性のからだの悩み早わかりハンドブック(主婦の友社)

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